総選挙の目的は政権交代を壊すこと‐国民との話し合いを持とう‐

 きょうは12月4日公示、16日投開票の衆議院選挙結果について書きます。
驚いたのは私の意識と、票に現れた有権者の動きとのギャップであった。



 16日は、ふだんテレビを見ない私が結果を知りたくてスイッチを入れた。
数時間後にはテレビを消した。

 頭の中の議席と、現実が大きく違ったからである。
議席の定数は、小選挙区300、比例代表180の合計480である。
確定した議席は、野党の自民294、公明31、第三勢力の維新54、みんな18、
未来9、そして社民2、大地1、共産8、与党の民主57、国民新1、無所属5で
あった。

 私の頭の中では、未来が第三勢力として進出するはずであった。
現実は公示前に62あった未来は9で皆殺し状態になった。

 現実の世界に生きているにもかかわらず、私は現実が見えなかったのだ。
どうして、なぜなんだろうか、と疑問が湧いた。

 その疑問を解くために現象から追かけて行く手法を使います。
現象となるのは国民の圧縮エネルギーのでやすい場所だからです。

 さて、現象を並べる。

  1、投票率は戦後最低の59.32%である。
  2、09年8月の鳩山民主の票が棄権、野田民主、維新とみんな、
    未来とに票が分散し、白紙が204万票。
  3、公示前230の民主は57で壊滅的状態となる。
  4、公示前62の未来は9で皆殺し状態となる。
  5、自民と公明は325議席を獲得した。

 これらの現象は、国民のエネルギーが出ていく方向である。
これで観えるのは、今回の総選挙での争点形成がなかったのである。

 争点とは、有権者と議員が変化する焦点である。
つまり焦点設定がないから、有権者が変化していない。
それは、いわゆる無党派層まで投票行為に及んでいないことから判断
できる。

 自民と野田民主は、公示前までに、それぞれの陣営の支持者を固めた
だけである。
その結果の戦後最低の投票率となった。

 09年8月の総選挙のときのように民主党などに票が集中していない。
(比例2984万票)
かって鳩山民主党に投票行為が及んだ人が、892万人の棄権、
野田民主党への比例962万票、維新への1226万票、みんなへの524万票、
未来に342万票とに分散した。
小選挙区で白紙が204万票もある。
これは、誰に投票するのかの判断に困った人たちの票である。
 

 ここまでで、
  イ09年に鳩山民主党などに投票した層が、投票に行かない人たちの層と、
   投票に及んだ人の票が野田民主、維新、みんな、
   未来に投票行為が分散したこと、
  ロ325議席を獲得した自公の獲得票数は長期低落傾向であること、
  ハ票を集中させる政治的主導性が不在であったこと、
などが観える。

 投票率の低下と票の分散の現象は、国会における代表者だけの論議での
政治的主導性限界が観える。

 次は国民の圧縮エネルギーの内容を見る。
892万人の棄権の層は、エネルギーが内にこもった結果である。

 では投票行為に及んだ人のエネルギーは、どうだったのだろうか。
それは、票の分散として現象に現れた。
前回、なかった維新が比例区で1226万票、みんなが524万票である。
みんなは、前回が300万票だから224万票上乗せしたことになる。
維新とみんなを合わせれば、1750万票である。
投票した人の28%を占めている。

 この国民の圧縮エネルギーの方向は、野田民主の壊滅的状態に現れた。
有権者の民主の公約破りに対する懲罰と報復である。

 今回の総選挙で報復のエネルギーが放された。
そのようなことが、かってあった。

 中村大尉事件である。
満洲事変の引き金と云われている。
この事件で日本の社会の中に圧縮されていた国民のエネルギーが
解き放されたのだ。
軍部は日本の国民の報復エネルギーに押されて、軍隊を大陸から
引き揚げることができなかった。
そのエネルギーは、自らの身体まで傷つけ、社会崩壊まで走り続けた。
それが、9月2日の降伏への調印となった。
 


 未来は維新、みんなと同様に第三極と打ち出していた。
しかし、維新54(比例代表1226万票)、みんな18(524万票)、
未来9(342万票)となった。
未来は皆殺し状態となった。

 第三極と打ち出していたのに、この差は何だろうか。
野田民主は壊滅、未来は皆殺し状態だから、つまり未来は、国民から
野田民主の仲間と認識されていたのだ。
(野田民主が民主Aで、未来が民主Bとして認識されていた)

 これが、私には観えなかったことである。
総選挙結果を突きつけられことで、後追いながら、ようやく国民感情と
大きくかけ離れていたことが、わかるようになった。



 国民との信頼関係が築くことができなければ、国民のエネルギーの
方向付けはできない。
では、国民との信頼関係を築く、機会は、どこの政局であったのだろうか。

 それは、3党合意によって6月に消費税増税法案可決が、
その機会であった。
反対票を入れた議員が、間(かん)を入れないで野田内閣に衆議院の解散を
要求することであった。

 誰が国民の利益に相応しかが一目でわかる。

 今から想い出すと、総選挙公示直前に、「国民の生活が第一」が
未来に合流した。
この未来との合流は、国民目線からの「生活」と民主とのあいまいさを
消すベクトルを含んだものであった。
党名と看板の取り替えは、国会における代表者の直感的本能的行為
なのであろう。
しかし、国民は、未来を野田民主の仲間として認識していた。
そのことは、小選挙区と比例区に票として現れた。

 

 今回の総選挙では、野田民主の壊滅的状態、未来の皆殺し的状態、
国民新党の解散、社民党の縮小、共産党の傍観者的立場となり、09年
政権交代の成果が全て壊れた。
 政権交代は07年参議院選挙での与野党逆転、09年衆議院選挙での
政権交代、鳩山・小沢への追いおとしと社民の政権離脱、
10年参議院選挙での敗北(管)、亀井追い出しでの国民新党の変質と
民主からの小沢派の分裂、そして12年の鳩山の引退と衆議院選挙での
完敗(野田)で幕を終える。

 今回の総選挙の目的は、政権交代を壊すことであった。



 敗因は、新党結成のすぐで「準備不足」「原発をはじめとする既得権益を
守ろうとする旧体制(の力)」「大手メディアも加わった争点隠し(と未来隠し)」
などと述べている。

 これを主張している人は、生きた人を見ていない。
国民のほとんどが消費税増税反対、反原発、TPP反対であるが、
これらが投票の基準とならなかった。
09年の投票率は69.28%(7058万人)、今回は59.32%(6166万人)で、
約10ポイント(892万人)も下がっている。

 投票率が大きく低下したのは、明日(あした)がないからである。
その明日とは、昨日(きのう)とは違う生活ができることである。

 同じ人は「原発問題がどこかで起きるかもしれないと考えていても、
有権者が自分の身に起きるとは考えず、投票先にならなかった」とも述べて
いる。
 ただ消費税増税反対、反原発、TPP反対に投票するのではない。
昨日と違う生活があることを方向付けるから、投票基準となるのである。

 しかしながら、その方向付けがないから、鳩山民主に投票した人たちの
票は、棄権、野田民主、そして維新、みんな、未来に分散したのだ。
国民のエネルギーへの方向づけがあるときだけ、政治的主導性(票の集中)が
発揮できるのである。

 未来の党は皆殺し状態なのに「今後、今日のスタートを第一歩として、
同じ思いの人を広く求めながら、より大きな高みをめざして進んでいきたいと
思います。参議院選に向けて、これからが、スタートです。」とも述べている。

 だから、政策は間違っていない、その浸透の時間が足りなかっただけだ、
今度の参議院選挙まで6カ月あるから、しっかり準備し、
緻密に党名と政策を浸透させよう、と云っている。

  とんでもない主張である。  
いままでの生活ではなく、新しい生活があるから、同じことをしても結果が
違うから、有権者は自発的に行動するのである。
投票所に足を運び、「小沢一郎」「日本未来の党」と書くのだ。



 党名や看板を取り替える必要がある。
さらに、信任されなかったことを有権者のせいにしないことである。
国民が自発的に生活できるように、その話し合いの場を工夫することである。

 今回の総選挙で目が覚めた落選者を拾うことも大事である。
そして13年7月に予定されている参議院選挙の準備もある。

 しかし、党名や看板を変えたり、参議院選挙への準備は、今回の総選挙で、
放された報復のエネルギーへの対処するために使うのである。
報復エネルギーに対処するには、圧縮された国民のエネルギーの方向と
量を調整することになる。

この記事へのコメント

toshi
2012年12月23日 12:04
堀本さん
ほんと仰る通りです。
この失敗に学んでほしいね。

メロンパン
2012年12月23日 14:31
>つまり未来は、国民から 野田民主の仲間と認識されていたのだ。
> 野田民主が民主Aで、未来が民主Bとして認識されていた
なるほど、同感です。

>報復エネルギーに対処するには、圧縮された国民のエネルギーの方向と量を調整することになる。
具体的にはどういうことになりますか?
昨日と明日が違う生活が出来るぞという展望・希望を提示するということでしょうか?

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    Excerpt:  引き続きコメントの紹介をします。 Weblog: 草莽・埼玉塾(堀本ひでき)のブログ racked: 2012-12-26 17:53
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